ノンナが帰ってきて「よかったあああ!」と安心した直後、今度はビクトリアが消える。こっちの情緒を休ませる気がない(笑)。
第7話「素敵な思い出ができたのは」は、ノンナの養女話に決着がつく一方、ビクトリアがマイルズへの違和感から監視を察知し、王都を離れる決断をする回でした。ビクトリアが逃げた理由は、マイルズが本来の住人ではなく、自分を探るため近くに置かれた人物だと見抜いたからです。
しかもジェフリーも、すでに彼女を「脱走工作員」だと推測していました。やっと手に入れた普通の暮らしが、一番幸せになったところで崩れていく。7話、かなり切ないです。
※この記事は2026年8月19日に更新されました
『手札が多めのビクトリア』7話 感想:幸せになった瞬間に全部捨てて逃げるのがビクトリア
ハンソン男爵家へ一週間のお試し滞在に行ったノンナ。ビクトリアは寂しさを抱えながらも、「貴族の娘になる方がノンナには幸せなのでは」と自分に言い聞かせます。
ところがノンナは自分の意思で帰ってくる。血も身分も関係なく、ノンナが選んだ家族はビクトリアでした。
普通ならここで安心して終われるんですよ。ところが、その直後にビクトリア自身が旅立つ準備を始める。
ジェフリーもノンナもいて、王都で「ここにいたい」と思える生活ができた。だからこそ、危険を感じた瞬間に失うものが以前とは比べものにならなくなっています。
サブタイトル「素敵な思い出ができたのは」も重い。原作でジェフリーへ残した手紙には、ピクニックや焼き栗を楽しんだ時間への感謝が綴られています。幸せな記憶を、別れの手紙にしなければならないんです。
ビクトリアはなぜ突然姿を消したのか?どこへ行った?
ビクトリアが逃げた直接の理由は、ハグル王国の追手を発見したからではありません。隣家のマイルズが、自分を監視するために配置された人物だと判断したからです。
決め手になったのはマイルズの家。
原作では、真鍮製のドアノブに残った長年の使用跡から、本来の住人は左利きだとビクトリアは察します。しかし手合わせで確認したマイルズは完全な右利きでした。
さらに道具拭きに使われた古い靴下はマイルズには小さく、壁の釘も彼の体格なら不自然な高さに打たれている。本来そこに長く住んでいた人物は、マイルズより小柄だったと読み取ります。
腕の立つ元軍人が偽装した住居に入り、元工作員である自分のすぐ近くに現れた。ビクトリアにとっては「偶然」で片付けられる状況ではありません。
そして彼女は、監視者の目的を確認してから動こうとはしません。
工作員クロエとして生きてきたビクトリアには、「正体を疑われた時点で離れる」という生存原則が染みついています。相手が善人かどうか確かめている間に捕まれば終わり。だから皆へ手紙を残し、ノンナと王都を去ります。
原作のその後では、ビクトリアは黒髪の「マリア」、ノンナは黒髪の少年「ライル」に変装してランダル王国へ移動。南部エグニルの羊牧場で住み込みの生活を始めます。
ノンナもちゃんと一緒です。しかもここでノンナがビクトリアを「お母さん」と呼び始める。逃亡生活なのに親子関係は一歩進むんですよ。尊い。
マイルズの正体は何者?なぜビクトリアを監視していたのか
マイルズは、ただ偶然近所へ引っ越してきた退役軍人ではありません。
原作では、アシュベリー王国の極秘組織「第三騎士団」を実質的に動かす人物が、ビクトリアについて調査している場面で「マイルズ氏からの報告」を確認しています。マイルズは少なくとも、第三騎士団側へビクトリアの動向を報告する監視役として動いていました。
ただし「マイルズ=第三騎士団の正式な団員」とまでは明示されていません。ここは分けておきたいところです。
監視の理由は、ビクトリアの経歴に不自然な点が増えていたから。
彼女は両親を火事で亡くしたと説明していましたが、調査では生死不明。馬術は軍人の兄から教わったことになっているのに、本物のビクトリア・セラーズには兄がいません。
夜会に現れた謎の女性や、脱獄事件に関わった赤毛の女性まで同一人物ではないかという疑いも出ていました。
一方で、監視する側はビクトリアを最初から犯罪者と決めつけていたわけではありません。彼女が何かから逃げていると考え、理由次第では保護したい。しかし犯罪者なら外交問題になる前に対処しなければならない。
敵ではない。でも秘密を探っている。ビクトリアにとっては、この立場こそ一番怖かったのでしょう。
ノンナはハンソン家の養女になったのか?なぜ逃げ帰ってきた?
ノンナはハンソン男爵家の養女にはなりません。
お試し滞在中、夫妻は亡くなった娘ドロレスをノンナへ重ね、「ドロレス」と呼び始めます。「お父様、お母様」と呼ぶことまで求め、ついにはノンナの部屋へ鍵をかけました。
そこでノンナは二階の窓から脱出。ビクトリアから教わった着地方法を使って帰ってきます。「鍵は非常事態」という判断が妙にたくましい(笑)。
ただ、ノンナが最初にお試し滞在を受け入れたのは、貴族の娘になりたかったからではありません。エバが困っていることに気づき、助けようとしたからでした。
ハンソン夫妻も単純な悪人ではありません。三歳で亡くした娘への喪失を受け入れきれず、ノンナへ娘の姿を重ねてしまった。それでもノンナは「私はドロレスではない」と自分の人生を選びます。
そして「貴族の娘になった方が幸せなのでは」と考えていたビクトリアにも答えが返ってくる。
豪華な屋敷でもドレスでもなく、ノンナが帰りたい場所はビクトリアの家でした。もう立派に親子なんですよ、この二人。
ジェフリーはビクトリアの正体に気づいていたのか?
ジェフリーは気づいていました。ただし「ハグル王国の工作員クロエ」まで特定していたわけではありません。
原作では、四カ国語、料理や掃除、体術、剣術、危険察知能力など、普通の女性とは思えない技能をつなぎ合わせ、ジェフリーはビクトリアを「脱走工作員」だと推測します。名前も偽名だろうと考えていました。
それでも彼はビクトリアを捕らえようとはしません。
むしろ彼女と一緒に生きるなら騎士団長を辞め、家籍を抜いて平民になり、ノンナと三人で他国へ行くことまで考えています。
ここが最高にすれ違ってるんですよ。
ビクトリアは「正体を知られたら全部終わる」と思っている。ジェフリーは「工作員でも構わない。一緒に逃げる道まで考える」ところまで来ている。
二人の間に足りないのは愛情ではなく、ビクトリアが自分の秘密を誰かへ預ける経験です。
幸せを手に入れるほど逃げたくなるビクトリアが切ない
ビクトリアには変装、語学、料理、戦闘、情報収集、逃走術まであります。国を越えて別人として生活を作り直すことさえできる。
なのに、「好きな人へ過去を話して、その人を信じて残る」という手札だけは持っていません。
だから7話の失踪は、王都での暮らしを大切にしていなかったからではなく真逆です。楽しくて幸せだったから予定より長く留まり、それでも危険を感じた瞬間、失う前に自分から手放した。
手札は多い。でも幸せになる方法だけは、まだ覚えている途中。
ジェフリーへの「素敵な思い出」が、本当に思い出のままで終わらないでくれ。7話を見終えたら、もうそれだけでした。
【公式サイト・引用・参照】
- アニメイトタイムズ『手札が多めのビクトリア』第7話「素敵な思い出ができたのは」あらすじ&先行場面カット
- 小説家になろう『手札が多めのビクトリア』37 アップルパイと侍女(3)
- 小説家になろう『手札が多めのビクトリア』39 ハイランド伯爵と料理人デイブ
- 小説家になろう『手札が多めのビクトリア』40 ハグル語と焼き栗
- 小説家になろう『手札が多めのビクトリア』42 第三騎士団
- 小説家になろう『手札が多めのビクトリア』43 ビクトリアの手紙
- 小説家になろう『手札が多めのビクトリア』45 牧場暮らし

最後まで読んでいただきありがとうございます!
ノンナが戻って安心した直後のビクトリア失踪、切なすぎましたね。

幸せになった途端に逃げるなんて不器用すぎるにゃ!
ジェフリーの覚悟を知ったら余計につらいにゃ。

マイルズの正体や二人の再会も気になります!
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