「ざつ旅って、ゆるキャンに似てるの?」そんな疑問を持ったことはありませんか?どちらも“ゆるい旅”を描いた作品ですが、実は似ているようでまったく異なる魅力を持っています。
本記事では、風景描写や癒しの演出、キャラの関係性などを軸に、2作品の共通点と違いを徹底比較。
アニメ愛好家としての視点から、両作品がどう受け取られているのか、どんな人に刺さるのかも深掘りします。
※この記事は2025年5月19日に更新されました。
◆内容◆
- ざつ旅とゆるキャンの共通点
- 2作品の明確な違いと魅力
- それぞれが刺さる視聴者層
ざつ旅とゆるキャンが「似てる」と言われる理由とは?
2025年4月にアニメ化された『ざつ旅 -That’s Journey-』は、放送開始直後から「ゆるキャン△に似ている」とSNS上で話題を集めています。どちらも女子学生が主人公で、旅を通じた日常と癒しを描くという共通点があり、“第2のゆるキャン”という呼び名が自然と広まりました。
しかしながら、視聴者の心を掴んだのは、単なる設定やジャンルの一致ではなく、視覚演出・情緒表現・共感性というUX的側面における共通性でした。本章では、視聴体験の本質に迫りながら、なぜ両作品が“似ている”と感じられるのかを深く探っていきます。
ざつ旅 全体あらすじ
漫画賞の新人賞を受賞した漫画家志望の女子大生・鈴ヶ森ちかは、編集部に新作のネームを3本持ち込むも全ボツ。心が折れかけた彼女は「どこか、旅にでたい…」という衝動に駆られ、SNSで旅先アンケートを開始。想定外の反響を受け、引くに引けない中で始まった“ざつ”な旅。それは一人で、時に友人と巡る、行き当たりばったりな再出発の物語。
出典・引用元:[ざつ旅 -That’s Journey-]
ゆるキャン△ あらすじ
静岡から山梨に引っ越してきた女子高校生・なでしこは、“千円札の絵にもなっている富士山”を見るため本栖湖へ。そこで出会ったのは、1人キャンプ好きの女の子・リン。焚き火を囲みながらすすったカレー麺をきっかけに、2人のゆるくて自由なアウトドアライフが始まる――。自然の中で過ごす女子高生たちの、ゆるやかで温かな日常を描くアウトドア系ガールズストーリー。
出典・引用元:[ゆるキャン△]
“ゆる旅”ジャンルが生む心地よさと等身大の共感
『ざつ旅』と『ゆるキャン△』は、どちらも“ゆる旅”というジャンルに分類され、ドラマ性よりも「過程のゆるやかな体験」に重きを置いた構成が視聴者に安らぎを提供しています。
『ゆるキャン△』は、仲間たちと自然を満喫する共同体験、『ざつ旅』は主人公・ちかが一人で気ままに旅を続けるソロスタイル。それでも共通するのは、“頑張らなくていい旅”を肯定する姿勢です。計画性よりも偶然を楽しむ構成は、現代人の「自分を追い詰めない」旅への憧れと一致しています。
リアルな風景と“飯テロ”が生む臨場感と癒し
両作に共通する大きな魅力が、リアルな風景描写と五感に訴える食事演出です。『ざつ旅』では、磐梯熱海や会津若松といった地方都市が登場し、地元食や酒など地域文化が丁寧に描かれています。これにより、アニメを観ながら“実際に旅しているような感覚”が得られるのです。
『ゆるキャン△』もまた、山梨・静岡の自然豊かなキャンプ地や、焚き火を囲んでのキャンプ飯が魅力。アニメなのに香りまで伝わるような演出に、「お腹がすく」「癒される」といった声が多く寄せられます。どちらの作品も、風景と食を通して視聴者の“感覚”を動かす力を持っています。
SNSでの共感と“ゆるさ”がつなぐ2作品の評価軸
『ざつ旅』放送直後、SNSでは「空気感がゆるキャンそっくり」「これも癒し枠」との投稿が相次ぎました。共感を生んだのは、過度な感情表現や過剰な演出に頼らない“間”と“余白”の演出です。
『ざつ旅』の旅は、現実逃避や創作の行き詰まりから始まりますが、その過程で少しずつ「何も決まっていないことの楽しさ」に気づいていきます。“がんばらなくていい”という世界観は、ゆるキャンと同じく多くの人に癒しを届けています。ジャンルや設定の類似以上に、“観たあと心が軽くなる”体験の共通性こそが、両者を“似ている”と感じさせる理由なのです。

ざつ旅って、やっぱりゆるキャンに似てるって感じる?

うん、雰囲気は近いけど、旅のスタイルや主人公の動機はぜんぜん違うかも!

この違いが見えてくると、どっちももっと味わい深くなるよ!
実は全然違う?ざつ旅とゆるキャンの決定的な違い
『ざつ旅』と『ゆるキャン△』は共に「女子学生×旅」という設定を持ちつつも、実は描こうとしている世界観やメッセージ性が大きく異なります。一見似ているようで、作品の本質に迫るとその違いは明確です。
本章では、旅のスタイル・キャラクターの関係性・物語の動機という3つの側面から、両作の本質的な相違点を明らかにし、それぞれの魅力を浮き彫りにしていきます。
無計画なソロ旅と、計画的なグループ旅の対比
『ざつ旅』では、主人公・鈴ヶ森ちかがSNSのアンケート機能を使って次の目的地を決定し、宿も予約せず、“行き当たりばったり”のソロ旅を続けます。この構成は即興性に満ちており、「何が起こるかわからないからこそ面白い」という旅の本質を描いています。
一方『ゆるキャン△』は、高校のアウトドア部や個人キャンパーたちが、事前に目的地・食材・道具を準備しながら旅をする“計画的かつ安全なキャンプ旅”が基本。観る側にとっても安心感のある旅路で、実用的なアウトドア知識も得られる構成になっています。
キャラクターの動機と心理の深度が導く物語の違い
『ゆるキャン△』のキャラクターたちは、純粋に「アウトドアを楽しみたい」「自然の中で過ごすのが好き」という動機で旅をします。なでしこやリンのやりとりに見られるように、“友情”や“共有する楽しさ”が中心テーマです。
対して『ざつ旅』の主人公・ちかは、漫画のネームが全ボツになったという挫折をきっかけに旅へ出ます。“創作に行き詰まった若者が、現実から逃れたい”という動機が非常にリアルであり、孤独や焦燥感を抱える視聴者に強く響く構造となっています。旅は癒しというより“再出発”の手段でもあるのです。
世界観の方向性と視聴後に残る余韻の違い
『ゆるキャン△』は視聴者に「次のキャンプ、どこに行こうかな?」というポジティブなエネルギーを残してくれる作品です。キャラクターの成長や季節の移り変わりを通して、“誰かと過ごす日常の豊かさ”が丁寧に描かれています。
一方『ざつ旅』は、出会いも別れも偶然に任せ、時には不安定な感情もそのまま映しますが、その中に“一人でも生きていける肯定感”が存在します。「ひとりの時間って、悪くない」と思わせてくれるこの余韻が、ざつ旅ならではの感動を生み出しているのです。
📌ざつ旅とゆるキャンの比較早見表
作品名 | ざつ旅 | ゆるキャン△ |
主人公 | 漫画家志望の女子大学生(鈴ヶ森ちか) | 高校生グループ(なでしこ・リンなど) |
旅のスタイル | SNSで行き先決定/無計画な一人旅 | 目的地や道具を事前に準備したキャンプ |
食の描写 | ローカルグルメ・地酒・偶発的な出会い飯 | キャンプ飯・鍋・ホットサンドなど |
旅の動機 | 創作への行き詰まりからの現実逃避 | アウトドアを楽しむ趣味・友情の深化 |
ざつ旅が響く人、ゆるキャンが刺さる人――作品が向いている層の違い
『ざつ旅』と『ゆるキャン△』は、それぞれ異なるアプローチで旅の魅力を描いています。そのため、作品ごとに共感する視聴者層にも違いが生まれているのが特徴です。
この章では、どんな人がどちらの作品に魅力を感じやすいのか、心理的なニーズやライフスタイル、観る目的に照らして考察していきます。
現実逃避と共感を求める大人には『ざつ旅』が刺さる
『ざつ旅』は、漫画家志望の女子大生・ちかが、自身の創作に行き詰まりながらも旅に出るというリアルな背景を持ちます。何かに疲れた人、夢に挫折しかけている人に寄り添う作品です。
「計画がなくても、旅はできる」「行けばなんとかなる」――そんな曖昧でやさしい肯定感が、本気でがんばってきた人の心を癒します。20〜30代の社会人やクリエイター層から多くの支持を集めているのは、ちかの旅に“自分の姿”を重ねることができるからでしょう。
🎒こんな人におすすめ!
- 毎日に疲れて「どこか遠くへ行きたい」と感じている人
- 創作や仕事に悩み、「少し立ち止まりたい」と思っている人
- 気ままな一人旅に憧れがある人
学生やアウトドア好きには『ゆるキャン△』の癒しが心地よい
『ゆるキャン△』は、友情と自然、アウトドアの楽しさを描く作品であり、“誰かと過ごす時間”を大切にしたい人に強く響きます。観ているだけでキャンプに行きたくなり、友達と出かけたくなるような空気感があります。
特に女子高校生という設定は、青春感や安心感の象徴でもあり、10代〜20代前半の学生層や、アウトドア趣味を始めたばかりの人たちに人気です。初心者にもやさしいアウトドア知識や、仲間と過ごす時間の豊かさを体験できます。
⛺こんな人におすすめ!
- 友達と過ごす時間やゆるい日常が好きな人
- アウトドアやキャンプに興味を持ち始めた人
- 安心感のある癒し系アニメを探している人
“今の自分”に合わせて選べる癒しの旅アニメ
『ざつ旅』と『ゆるキャン△』は、共に癒しを与える作品ですが、癒しのかたちがまったく違います。前者は孤独や不安を優しく包み込み、後者は仲間との時間にあたたかさを感じさせてくれます。
今、自分がひとりで考えたい時期なら『ざつ旅』、誰かと共有したい気持ちが強いなら『ゆるキャン△』。どちらも“自分を取り戻す時間”を与えてくれる作品であり、心の状態に合わせて観るアニメとしての柔軟性が魅力です。
📖【補足】どちらを見るべき?判断のヒント
孤独や現実に疲れているなら『ざつ旅』。
仲間と笑い合う心地よさを求めるなら『ゆるキャン△』。
癒されたい気分に応じて、自分に寄り添う旅アニメを選びましょう。
アニメ『ざつ旅』が描く新しい旅アニメの可能性とは
『ざつ旅』は、2025年春にアニメ化されたばかりの新作でありながら、旅アニメファンの間で大きな注目を集めています。「第2のゆるキャン」とも評されますが、その内容は明確な個性と新しさを備えています。
ここでは、“ゆるさ”や“癒し”だけではない、『ざつ旅』が開拓しつつある新しい旅アニメの方向性と可能性について探っていきます。
1話完結型×即興旅という構成の強み
『ざつ旅』は、SNSアンケートをもとに行き先を決めるという設定のため、基本的に1話ごとに異なる地域・体験が描かれる構成になっています。この点がシリーズ型の『ゆるキャン△』とは明確に異なる魅力です。
各話で完結するストーリー構造は、観たいときに観られる気軽さを持ち、旅番組のようなドキュメンタリー的リアリティを演出しています。視聴者はその土地の景色や文化に没入しながら、まるで自分も“ふらっと旅に出た気分”を味わえるのです。
聖地巡礼との親和性、そして“視聴者参加型”への進化も
『ざつ旅』のもうひとつの注目点は、登場する地域がすべて現実の街であること。福島・長野・群馬など、観光地だけでなく“あえて普通の町”が舞台となることで、「聖地巡礼=観光だけではない」新たな価値を生んでいます。
また、SNSと連動した設定は、今後「本当に行き先を視聴者が決める」ような企画型コンテンツにも発展可能です。旅アニメとネット文化の融合という観点で、『ざつ旅』は次世代型アニメの可能性を示していると言えるでしょう。
まとめ:ざつ旅とゆるキャン、似ているからこそ分かる“旅アニメ”の奥深さ
『ざつ旅 -That’s Journey-』と『ゆるキャン△』は、どちらも「女子学生×旅」をテーマに、日常に癒しと非日常の発見を届けてくれるアニメです。共にゆるやかな旅の空気感を大切にしながら、視聴者の心に“静かな余白”を与えるという点で高く評価されています。
ただし、実際には旅のスタイル・キャラクターの関係性・描かれる感情の深度において明確な違いがあります。『ざつ旅』は現実逃避的なひとり旅の中での再出発を描き、共感や内省を促す作品。一方で『ゆるキャン△』は、仲間と自然を楽しむ中での成長や癒しを描く、ポジティブで安定感のある青春物語です。
視聴者が今感じている心の状態によって、「どちらが響くか」は異なるでしょう。一人で考えたいときには『ざつ旅』、誰かと楽しみたいときには『ゆるキャン△』というように、心のチューニングに合わせて選べる2つの旅アニメです。
2作品を比較することで見えてくるのは、“旅アニメ”というジャンルの広がりと奥深さ。そして、アニメという表現形式が持つ可能性の広さです。癒されたい、前を向きたい、自分を見つめ直したい――そんな気持ちが芽生えたとき、そっと寄り添ってくれるのが、この2作品なのです。
◆ポイント◆
- ざつ旅とゆるキャンは空気感が似ている
- 旅のスタイルや動機に大きな違い
- 共感する視聴者層はそれぞれ異なる
- ざつ旅は新たな旅アニメの可能性を示す

ここまで読んでいただきありがとうございます!
ざつ旅とゆるキャン、どちらも旅の魅力が詰まった癒し系アニメです。
それぞれの良さがあるので、気分に合わせて楽しんでくださいね!
感想やお気に入りのシーンがあれば、ぜひSNSでシェアしてください!