いや、8年前は反則でしょう。これまで「スーパーの裏で偶然始まった関係」だと思ってニマニマしていたところへ、もっと昔から二人はすれ違っていたと出してくる。
『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』6話「スーパーの裏に残る匂い」は、佐々木の禁煙騒動から始まり、最後には佐々木と山田が8年前にも出会っていた事実を明かした回でした。現在の二人の関係が、過去までぐるっとつながります。
ただし、「山田は昔から佐々木だと分かっていたのか」というと話は別。そこを分けて見ると、この8年前の出会いがさらに尊くなります。
※この記事は2026年8月14日に更新されました
『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』6話 感想:これ、実質二人の「0話」じゃないですか
前半では健康診断をきっかけに、佐々木へ禁煙の危機が到来します。結局は誤診だったのですが、面白いのは佐々木が何を失うことを恐れたかです。
煙草そのもの以上に、「田山さんとの一服が終わるかもしれない」ことが効いている。もう完全にスーパー裏の時間が生活の一部なんですよ。本人だけ相変わらず恋愛方面に鈍い(笑)。
しかも田山との距離は、煙草同士で火を移すほど近い。派手な告白なんてなくても、一本の煙草だけで二人の距離感を見せる。この作品、本当にこういうところがうまいです。
そして後半は8年前へ。当時の山田は、現在の完璧な接客スマイルとは別人のような「スマイル0山田」でした。
その彼女の前に現れた名も知らないサラリーマンが、若き日の佐々木。ここまで来ると6話というより、現在の二人が始まる前を描いた「0話」を見せられた感覚でした。
佐々木と山田は8年前に会っていた?
はい。佐々木と山田は、現在スーパー裏で交流を始める約8年前に一度出会っています。
当時の山田は学生アルバイトで、今のように自然な接客ができませんでした。笑顔を作るのが苦手で「スマイル0」と呼ばれるほど。仕事そのものは好きなのに接客がうまくいかず、客からきつく当たられてしまいます。
その場に居合わせたのが、まだ山田と面識のなかった佐々木でした。
佐々木は客との間に入り、山田を助けます。その後も彼女がきちんと仕事に向き合っていることを認め、うまくできない今だけを見て「向いていない」と切り捨てませんでした。
その言葉を受けた山田は涙を流し、最後にはそれまで作れなかった自然な笑顔を見せます。
ここが6話最大のポイントです。
現在の佐々木にとって、スーパーで見せてくれる「山田さんの笑顔」は、仕事で疲れた自分を救ってくれる癒しです。
ところが、その山田が笑えるようになる過程には8年前の佐々木がいた。
佐々木が山田を救い、年月を経て今度は山田の笑顔が佐々木を救っている。本人たちがその因果を意識していないところまで含めて、ヤバいほど綺麗な循環です。
恋愛作品で「実は昔会っていました」という仕掛け自体は珍しくありません。でも『ヤニすう』はそれを運命の赤い糸として大げさに見せず、接客と短い会話の記憶として残す。そこがたまらない。
山田はなぜ佐々木を気にする?8年前の出会いが理由なのか
ここは分けて考える必要があります。
8年前の佐々木は山田に大きな影響を与えていますが、現在の山田が佐々木を気にする理由を「昔の恩人だと知っているから」とするのは違います。
山田の中には、8年前に自分を励ましてくれたサラリーマンの記憶が残っています。ただ、6話時点では、その人物と現在スーパー裏で煙草を吸っている佐々木を明確には結びつけていません。
つまり山田は、「あの時助けてくれた人だから佐々木に近づいた」わけではない。
現在の二人は現在の二人として、スーパー裏でもう一度関係を作っています。
田山として佐々木をからかい、くだらない話をして、時には弱い部分も見せる。佐々木も彼女を単なる店員として扱わず、一人の「田山さん」として言葉を返す。
山田が今の佐々木を気にしているのは、その積み重ねがあるからです。
だから8年前の出会いは「現在の好意の答え」ではなく、もっと下に埋まっていた縁なんですよね。
もし山田が最初から佐々木=8年前の恩人だと知っていたなら、現在の関係には「恩返し」という理由が混ざります。でも知らないまま、同じ男にもう一度心を動かされている。
佐々木という人間の優しさを、山田は8年前と現在で二度、別々に受け取っているわけです。
そして佐々木も、昔自分が励ました少女だとは知らず、その成長した笑顔に救われている。お互い無自覚でこんな綺麗な円を描くな。オタクがニマニマしてしまうでしょうが(笑)。
サブタイトル「スーパーの裏に残る匂い」の意味とは
「スーパーの裏に残る匂い」は、まずこの作品を象徴する煙草の匂いを指していると読めます。
煙草は吸い終われば短くなり、煙も消える。それでも匂いは服や場所に残る。山田自身も、以前に煙草の匂いを客から指摘され、そのことで落ち込んでいました。
6話では、その「残る」という感覚が8年前の記憶にも重なります。
8年前の佐々木との時間そのものは、とっくに終わっています。二人は名前すら知らないまま別れ、それぞれの人生を歩いてきました。
それでも、佐々木が残した言葉は山田の中から消えなかった。
一本の煙草が消えたあとにも匂いだけが残るように、スーパーで交わした短い言葉が、何年経っても人の中に残っている。
私は「スーパーの裏に残る匂い」というサブタイトルを、煙草の匂いと8年前から残り続けた記憶の両方に重ねています。
これは作中で意味を明言されたわけではありません。ただ、健康診断によって「もう一緒に煙草を吸えなくなるかもしれない」と現在の時間を意識させ、その後に8年前から残っていた記憶を見せる構成はかなり美しい。
煙草は消える。でも、一緒にいた時間まで消えるわけじゃない。
『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』って、タイトルだけ見るとヤニ臭そうなのに(笑)、描いているものはずっとこういう人と人との残り香なんですよね。
煙草より先に、二人の縁がずっと燻っていた
6話を見たあとで1話の二人を見ると、もう同じ「初対面」には見えません。
本人たちは知らない。でも視聴者だけは、山田の笑顔の奥に昔の佐々木がいることを知っている。そして佐々木は、その笑顔に今日も救われている。
恋愛を急いで答えにしない作品だからこそ、この8年越しのつながりが効きます。
二人がいつか、過去まで一本につながっていたと知る日は来るのか。それまではスーパー裏で、相変わらずじれったく煙草を吸っていてほしい。いやもう、この距離感が尊いです。
【公式サイト・引用・参照】
- TVアニメ「スーパーの裏でヤニ吸うふたり」公式サイト STORY
- アニメイトタイムズ『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』TV放送版 第6話「スーパーの裏に残る匂い」あらすじ&先行場面カット
- スクウェア・エニックス『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』2巻 書籍情報

最後まで読んでくれてありがとう!
6話で佐々木と山田の8年前までつながるとは、さすがに反則でしたね。

昔も今も同じ相手に救われてるとか、尊すぎにゃ!
鈍い佐々木は相変わらずにゃ。

8年前の出会いや「残る匂い」をどう感じたか、SNSでシェアしてみんなの意見も投稿してね!

