佐々木がお返しを選んでいる。それだけなのに、口元が勝手にゆるむんですよ。相手のいない場所で、その人のことを考えて品物を探す時間。もう十分に尊いです。
第3話「スーパーの裏で贈るふたり」は、消臭ミストと携帯灰皿を通して、佐々木と田山の関係が「会えば煙草を吸う仲」から、互いの日常に残る関係へ進んだ回でした。
※この記事は2026年7月24日に更新されました
『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』3話 感想:贈り物より選んでいる時間が尊い
田山からもらった消臭ミストによって、上司から指摘されていた煙草の臭いを改善できた佐々木。そこで「助かった」で終わらず、きちんとお返しを用意するのが彼のいいところです。
佐々木は、女性が喜びそうな物を即座に選べる器用な男ではありません。田山との会話や普段の姿を思い出し、悩んだ末に喫煙具を選びます。
この不器用さが、控えめに言って最高です。洒落た贈り物ではなく、「田山さんなら使ってくれそうだ」と考えて選んだ物だからこそ、佐々木の人柄がそのまま伝わります。
ところが、田山を捜してスーパーの裏へ来た佐々木は、後藤店長から不審者扱いされます。従業員用の場所で若い女性を待つ見知らぬ中年男性。事情を知らなければ、まあ怪しい(笑)。
二人だけだった喫煙所へ後藤店長という観察者が加わったことで、佐々木と田山の妙な親密さが外側から見えるようになりました。本人たちは普通に接しているつもりなのに、第三者には十分面白い関係なんです。
佐々木が田山に贈った携帯灰皿にはどんな意味があるのか
佐々木が選んだ携帯灰皿は、田山からもらった消臭ミストへの実用的なお返しです。佐々木自身は、恋愛的な意味を込めて贈ったわけではありません。
ただし、二人の関係にとって携帯灰皿は特別な品です。佐々木と田山が親しくなった場所は、スーパーの裏にある喫煙所でした。煙草は二人の会話を始め、気まずい沈黙さえ受け入れられる時間を作った共通項です。
携帯灰皿は、「これからも田山と煙草を吸う」という関係の継続を、佐々木が無自覚に形へ変えた物です。
アクセサリーや化粧品では、田山の好みを知らない佐々木には選びにくい。喫煙具なら、相手を恋愛対象として意識せずとも自然に渡せます。この恋愛未満の温度が、本作らしくていいんですよ。
田山から渡された消臭ミストは佐々木の生活に残り、佐々木から渡された携帯灰皿は田山の生活に残る。会っていない時間にも、相手が選んだ物を使う関係になりました。
サブタイトルが「スーパーの裏で贈るふたり」なのも、一方的なプレゼントではないからです。田山が佐々木を気遣い、今度は佐々木が田山を思って品物を選ぶ。物だけでなく、気遣いが往復しています。
後藤店長は田山と山田が同一人物だと知っているのか
後藤店長は、山田と田山が同一人物であることを知っています。
彼女は山田が働くスーパーSの店長です。店員としての山田だけでなく、仕事を離れた場所で田山として佐々木に接している事情も把握しています。
第3話で後藤店長が佐々木を警戒したのは、田山の正体を知らなかったからではありません。スーパーの裏へ入り込み、田山を待っている男性がどんな人物なのか分からなかったためです。
佐々木が田山の話していた喫煙仲間だと分かると、後藤店長の目つきが変わります。危険人物を確認する店長の目から、興味深い人間関係を発見したオタクの目へ。あの切り替わり、妙に親近感が湧きました(笑)。
公式の人物紹介でも、後藤店長は田山と佐々木の関係を面白がり、密かに楽しんでいる人物とされています。
ただし、後藤店長は二人を強引に結び付ける恋愛の仕掛け人ではありません。田山が正体を隠し、佐々木が何も気づかない状況を少し離れて眺める観客役です。
視聴者が抱く「佐々木、そこまで近くにいて分からないのか」という気持ちを、作品の中で代わりに楽しんでくれる。後藤店長がいることで、二人のすれ違いを笑って見守れるようになりました。
佐々木はなぜ田山と山田が同一人物だと気づかないのか
田山は勤務中の山田と比べ、髪型、服装、表情、口調を大きく変えています。丁寧に接客する山田と、ぶっきらぼうに佐々木をからかう田山では、受ける印象がまるで違います。
それでも、同じ人物だと分からない最大の理由は佐々木の思い込みです。
佐々木にとって山田は、仕事で疲れた心を癒やしてくれる憧れの店員。田山は、格好をつけずに愚痴をこぼせる喫煙仲間です。
二人を最初から別の役割へ分類しているため、声や顔立ちの共通点を探そうとしません。「似ている」と疑う発想そのものがないのです。
佐々木は山田へ好意を抱いていますが、その関係を積極的に進めようともしていません。スーパーで笑顔を向けてもらえるだけで満足しているため、山田の私生活や勤務外の姿まで想像していないのでしょう。
この鈍さによって、田山は山田への好意を本人の目の前で聞けます。嬉しいのに、それは「田山」へ向けられた言葉ではない。自分が褒められているのに素直に受け取れないところが、二人のすれ違いを甘くしています。
『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』3話の余韻:正体を知らないから本音を聞ける
佐々木は田山の正体を知らないからこそ、山田への思いを飾らず話せます。田山も、山田として向き合っていたら聞けなかった佐々木の本音を、喫煙仲間の顔で受け取れます。
第3話では、そこへ消臭ミストと携帯灰皿が加わりました。会話だけだった関係が、それぞれの生活に残る物へ形を変えています。
まだ二人は恋人ではありません。佐々木が田山へ向けている感情も、この時点では信頼できる喫煙仲間への親しさが中心です。
それでも、相手のことを考えながら贈り物を選ぶところまで来ている。恋愛の入口に立ちながら、本人たちだけがその場所に気づいていない。この絶妙な距離、ニマニマせずに見るほうが無理です。
【公式サイト・引用・参照】
- TVアニメ「スーパーの裏でヤニ吸うふたり」公式サイト STORY 3本目「スーパーの裏で贈るふたり」
- TVアニメ「スーパーの裏でヤニ吸うふたり」公式サイト CHARACTER
- アニメイトタイムズ『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』第3話先行場面カット&あらすじ

『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』3話の記事を読んでいただき、ありがとうございます!
携帯灰皿のお返しが、二人らしくて尊かったですね。

佐々木は山田と田山が同一人物だと早く気づくにゃ!
鈍すぎてアホにゃ。

恋愛未満の距離感が今後も楽しみです!
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