最終回で告白も正体バレもやらない。なのに、佐々木と田山の関係は今までより一段深くなった。こういう「決着しないことが答えになる」終わり方、ヤニすうらしくて好きです。
第12話「スーパーの裏で続くふたり」は、恩師・中島との再会をためらう佐々木を、田山が一度スーパーの裏から追い出す話です。あの出禁は絶縁ではなく、佐々木が自分の気持ちから逃げるのをやめさせるための背中押しでした。
※この記事は2026年9月25日に更新されました
『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』12話 感想|恋を進めず「話したい相手」になって終わるのがいい
今回いちばん刺さったのは、佐々木が田山を「煙草を一緒に吸う人」以上に頼り始めていることです。中島との再会を終えたあと、佐々木が持ち帰りたいのは武勇伝ではなく、その出来事を田山に話す時間でした。
最終回だから告白、キス、山田=田山の正体バレ――そんな派手なカードを切ることもできたはずです。でも本作が選んだのは「またスーパーの裏で話す」。焦らすなあ(笑)。ただ、この作品ではその一服こそが二人の関係そのものなんですよ。
そして普段は佐々木をからかっている田山が、本気で怒ったのも大きい。慰めるだけでは動かない相手だから、居場所から一度叩き出す。乱暴なのに、佐々木の性格を分かっている人間にしかできない怒り方でした。
田山はなぜ佐々木を出禁にしたのか?
田山が佐々木を出禁にした理由は、佐々木を嫌いになったからではありません。中島に会いたい気持ちがあるのに、「自分は迷惑をかけたから会わない方がいい」と本音を押し殺す佐々木へ腹を立てたからです。
公式予告でも、田山は佐々木が「自身の気持ちを抑え込むこと」に納得できず、怒って喫煙所から追い出したと説明されています。予告の「今の佐々木さんと吸ってても全然楽しくない」という言葉も、嫌悪ではなく「その状態のまま逃げ込んでくるな」という意味です。
佐々木は優しい。でも、その優しさには厄介な癖があります。相手へ迷惑をかけたと思うと、相手がどう考えているか確認する前に「自分が引けばいい」と結論を出してしまうんです。
中島が会いたいと言っているのに、佐々木は自分を悪い思い出の代表だと決めつける。それは謙虚さというより、中島がどう思っているかを佐々木一人で決めてしまっている状態です。
田山はそこを止めた。「すっきりするまで戻ってくるな」と居場所を封じたから、佐々木は中島へ会いに行くしかなくなる。出禁なのに、やっていることは完全に背中押し。こういう不器用な優しさ、尊いです。
中島とは誰?佐々木はなぜ会うのをためらった?
中島は佐々木のかつての上司であり、仕事を教えてくれた恩師です。定年退職を機に「久しぶりに会わないか」と佐々木へ連絡し、それが第12話の始まりになります。
佐々木がためらったのは、中島を嫌っているからではありません。むしろ逆で、世話になった相手だからこそ、本社時代に迷惑をかけたという負い目が強く残っていました。
原作28本目でも、佐々木は中島を恩人として大切に思う一方、「今さら会わない方がお互いのため」と引こうとします。田山に追い出されたことで踏ん切りがつき、中島との再会へ向かいました。
再会で大事なのは、佐々木の過去が「実は何も悪くありませんでした」と消えることではありません。佐々木が自分だけで悪い結末を決めず、中島本人の気持ちを聞けたことです。
佐々木は仕事でも人間関係でも、自分の価値を低く見積もりすぎるところがある。その彼が「自分にとって大切な関係」を他人の言葉で確かめ直せた。だから帰ってきた佐々木は、前より少しだけ軽く見えるんですよ。
山田=田山だと佐々木は最終回で気づいた?
佐々木は第12話の時点では、山田と田山が同一人物だとは気づいていません。テレビシリーズは最大のすれ違いを解消せず、佐々木が二人を別人として認識したまま終わります。
中島との再会を終えてスーパーへ戻った佐々木は、山田に田山のことを尋ねます。ここでも「山田さん=田山さん」という答え合わせには至りません。
これ、ラブコメの最終回としては相当じれったい(笑)。ただ、正体を知らない段階でも佐々木は「田山に話したいことがある」と思うようになっている。正体バレという大事件を使わず、田山本人の存在価値だけを上げて終わったのが上手いです。
なお原作では、この正体問題はもっと先まで続きます。アニメ第12話はそこへ踏み込まず、テレビシリーズの範囲をきれいに閉じています。
サブタイトル「スーパーの裏で続くふたり」の意味とは?
「スーパーの裏で続くふたり」は、二人の関係が最終回で完成するのではなく、この先もスーパーの裏で続いていくことを示す題名です。「終わるふたり」でも「結ばれるふたり」でもないところが、本作らしい。
最初の佐々木にとって、スーパーの裏は煙草を吸える場所でした。田山にとっては、正体を隠して佐々木をからかえる場所だった。それが12話かけて、仕事や過去でしんどいことがあった時に戻ってきて、相手へ話を持ち帰る場所へ変わっています。
友達、恋人、ただの喫煙仲間。まだ名前を決めなくてもいいんですよ。二人とも「また話したい」と思っている。それだけで最初の一服よりずっと深い関係になっています。
公式Xが最終回後に掲げたのも「今夜もあなたと この場所で。」でした。大げさなゴールより、次の夜も同じ場所に二人がいること。それが『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』の最終回答なんでしょう。
それにしても佐々木、最後まで気づかない(笑)。でも、その鈍さまで含めてまだ続けられる。終わったのに「続く」と言われると、そりゃもう少しスーパーの裏を覗きたくなります。
【公式サイト・引用・参照】
- TVアニメ『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』公式サイト STORY 12本目「スーパーの裏で続くふたり」
- アニメイトタイムズ「『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』TV放送版・最終回(12本目)の予告映像が公開!」
- 電撃オンライン「アニメ『ヤニすう』最終回予告映像が解禁」
- WEBザテレビジョン「第12話 スーパーの裏で続くふたり」
- マンガUP!『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』28本目

記事を読んでいただきありがとうございます!
告白も正体バレもないのに、佐々木と田山の距離が一番近づいた最終話でした!

出禁なのに実質は背中押しとか、田山の優しさが不器用すぎるにゃ!
佐々木は早く気づくにゃ!

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