雑魚処理、仲間の救助、ボスの分析、格上の足止めまで全部エルマ担当。レイド参加者というより、事故だらけの現場へ投入された熟練スタッフでした(笑)。
第3話「大規模依頼(レイドクエスト)」は、レベル16のエルマがレベル40の怪物を力で圧倒した回ではありません。ゲーム知識から敵の行動と勝ち筋を読み、全滅寸前の戦場を立て直した回です。
※この記事は2026年7月17日に更新されました
『追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する』3話 感想:エルマ一人に働かせすぎなレイドだった
今回の依頼は、エルマを含む十人でアンデッドの群れを討伐するレイドクエストです。D級冒険者ゴウタンが監督役となり、昇級を目指す新人たちが約三十体のワイトを処理。その間にゴウタンがボスのグールヘッドを倒す予定でした。
作戦だけ見れば単純です。しかし新人たちはワイトの数と迫力に飲まれ、ゴウタンの周囲へ雑魚を流してしまいます。
そこでエルマが〈パリィ〉で攻撃を崩し、〈ディザーム〉で武器を落とし、〈城壁返し〉で反撃。原作ではワイトの群れの三分の一以上を一人で倒しており、新人一人という働き方ではありません。
ゴウタンにも通常のグールヘッドを瀕死まで追い込める実力があります。無能な引率者ではなく、希少な存在進化を知らず、想定外が起きたときの指示を用意していなかった。
個人戦では強い男でも、レイドでは仲間の技能構成や撤退経路まで管理しなければならない。ゲーム的でありながら、集団戦の失敗として妙に生々しい回でした。
グールヘッドはなぜマッドヘッドへ存在進化したのか
グールヘッドは〈屍喰らい〉でアンデッドを捕食して力を蓄え、長期戦で追い詰められたことで、マッドヘッドへ存在進化しました。
〈屍喰らい〉は、死体やアンデッドを食べてHPを回復する特性です。グールヘッドはゴウタンと戦いながら周囲のワイトを食べ、最後には残っていた複数のワイトをまとめて捕食しました。
ただし、「ワイトを決まった数だけ食べれば必ず進化する」という単純な仕組みではありません。
原作では、戦闘前から蓄えていたエネルギー、長引いた戦闘、追い詰められた状態、乱数などが重なって起きる希少な現象として描かれています。ゴウタンが知らなかったのも不自然ではありません。
進化した結果、レベル33だったグールヘッドはレベル40のマッドヘッドへ変化。巨体化しただけでなく、相手の動きを止める〈王の咆哮〉や、麻痺を与える爪まで獲得しました。
ゴウタンには突然の異常事態でしたが、ゲーム時代の知識を持つエルマには見覚えのある危険行動です。捕食を始めた時点で逃げるべきだと判断できたことが、二人の決定的な差でした。
エルマはなぜレベル40のマッドヘッドを止められたのか
エルマはレベル16、マッドヘッドはレベル40です。重騎士の防御力が高くても、まともに攻撃を受け続ければ耐えられる差ではありません。
それでも止められた第一の理由は、マッドヘッドの攻撃動作を知っていたことです。腕力と速度は圧倒的ですが、巨体ゆえに攻撃の初動が大きい。エルマは動きを先読みし、直撃を避けながら〈パリィ〉で軌道をずらしました。
第二の理由は、目的を「自分で倒す」から「ゴウタンが復帰するまで耐える」へ切り替えたことです。
ゴウタンは〈王の咆哮〉で動きを止められ、続く爪の攻撃で麻痺しました。エルマはマッドヘッドの注意を引き受け、その間にテイルへ回復を任せます。
最後の一撃を入れたのは、麻痺から復帰したゴウタンの〈竜殺割り〉です。ただし、マッドヘッドを足止めし、反撃を重ね、背後から必殺技を当てられる状況を作ったのはエルマでした。
戦闘後、ゴウタン自身も討伐の功績をエルマのものと認め、魔石とドロップ品を譲っています。
とどめを刺したのはゴウタンですが、この戦いを勝利へ変えた中心人物はエルマです。レベル差を消したのではなく、格上でも倒せる盤面へ組み替えました。
当て身斬りはなぜ外れスキルなのに強いのか
〈当て身斬り〉は、剣の腹を使って至近距離から衝撃を与え、防御力の高い相手にもダメージを通す技能です。
一般的な剣士にとっては、剣の間合いを捨てて敵の懐へ飛び込まなければならないため、危険が大きすぎます。攻撃力を出す前に反撃を受ければ終わりです。
しかし重騎士は、高い耐久力で敵の攻撃を引き受けるクラス。もともと接近戦を避けられないため、敵の懐で使う〈当て身斬り〉の欠点を受け入れられます。
エルマは〈パリィ〉で攻撃を流してから密着し、〈当て身斬り〉でマッドヘッドの硬い体へ衝撃を通しました。
スキル単体では扱いにくくても、クラス、能力値、戦い方を組み合わせれば強力になる。外れだったのは技能ではなく、その使い道を知らない世間の評価でした。
ゴウタンはなぜレイドリーダーを任されていたのか
ゴウタンはD級冒険者で、昇級審査に関わる監督役です。通常のグールヘッドなら単独で追い込めるため、戦闘力と実績は十分にありました。
新人たちを励まし、危険なボスを自分で引き受ける姿勢もあります。ギルドが彼へレイドを任せたこと自体は間違いではありません。
問題は、参加者の技能や経験不足を把握しないまま、通常どおりに進むと考えたことです。ワイトの処理が遅れた場合の指示も、存在進化が起きた場合の撤退判断も用意していませんでした。
テイルは回復技能と麻痺を治療する〈パララヒール〉を持っていました。しかしゴウタンは大きくHPを削られ、状態異常への抵抗力も落ちていたため、麻痺の解除に五分以上かかります。
回復役が無能だったのではなく、前衛が倒れたあとに立て直す時間を誰も稼げない編成が問題でした。その役割を急きょ引き受けたのがエルマです。
ゴウタンは戦闘後、自分の指揮と安全管理の甘さを認めて頭を下げました。実力はある。失敗もする。そして功績を横取りしない。こういう不器用なベテラン、私は嫌いになれません。
ゲーム知識は火力よりも生存率を変える
第3話のエルマは、隠された超火力でマッドヘッドを消し飛ばしてはいません。
存在進化の兆候を読み、敵の技能を予測し、倒れた仲間の復帰時間を稼ぎ、最後の攻撃が決まる位置へ敵を誘導しました。
ゲーム知識とは、未来を知る予言ではありません。事故が起きた瞬間に敗北条件を見抜き、残された勝ち筋を選ぶ力です。
自分が目立つためではなく、仲間が生き残るために知識を使う。火力で押し潰すより、ずっと重騎士らしい無双でした。盾役が一番カッコいい作品、控えめに言って最高です。
【公式サイト・引用・参照】
- アニメイトタイムズ、『追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する』第3話あらすじ・先行場面カット
- 小説家になろう、原作第七話「レイドクエスト」
- 小説家になろう、原作第八話「アンデッドの群れ」
- 小説家になろう、原作第九話「存在進化」
- 小説家になろう、原作第十話「マッドヘッド」
- 小説家になろう、原作第十一話「決着」
- 小説家になろう、原作第十二話「狂鬼の盾」

読んでいただきありがとうございます!
『追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する』3話は、エルマの知識と判断力が輝くレイド戦でした。

雑魚処理から格上の足止めまで働かせすぎにゃ!
ほかの冒険者も少しは頑張るにゃ。

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