『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』2話|佐々木はなぜ山田=田山に気づかない?「添える」の意味

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山田と同じ笑顔を目の前で見せられても、佐々木は正体へたどり着かない。さすが「にぶす木」、鈍感力が太い(笑)。

それでも第2話で心に残ったのは、謎解きよりも田山が佐々木へ上着を掛け、その袖をそっと握る場面でした。『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』第2話は、正体には気づけない佐々木が、田山の心には静かに触れた回です。

それにしても、このアニメと『ヤニねこ』のせいで禁煙ができない!!

※この記事は2026年7月17日に更新されました

スーパーの裏でヤニ吸うふたり2話の感想:顔は近いのに正体は遠い

新卒社員を泣かせてしまい、自分は怖がられているのではないかと落ち込む佐々木。相手を叱り飛ばしたわけではなく、励ますつもりで掛けた言葉が裏目に出たため、余計に引きずっています。

そんな佐々木へ、田山は「そのうち佐々木の良さに気づく」と伝えます。本人よりも田山の方が、佐々木の優しさをよく知っている。この時点で田山さん、もう結構深いところまで持っていかれています(笑)。

ところが佐々木には、自分の良さがまるで分からない。そこで田山が伝授したのが笑顔です。

田山は顔を近づけ、スーパーで接客する山田と同じような笑顔を見せます。佐々木の脳裏にも一瞬だけ山田が浮かぶのですが、そこから「同一人物だ」という答えには進みません。

しかも佐々木が笑顔を見て笑ってしまったため、田山はご機嫌斜め。自分で見本を見せておいて、思った反応と違えばムッとする。理不尽だけど可愛い。恋愛アニメのヒロインは、このくらい面倒な方がうまいんですよ(笑)。

後半では、仕事中のクレームで苛立つ田山に対し、今度は佐々木が言葉を添えます。相手の問題を解決したわけではありません。ただ、感情を否定せず、田山が落ち着ける場所を残しました。

そして田山は、眠ってしまった佐々木へ自分の上着を掛け、その袖口をきゅっと握ります。顔を近づける場面より、この指先の方がよほど恋を語っていました。いや、尊い。

佐々木はなぜ山田と田山が同一人物だと気づかないのか

佐々木が気づかない最大の理由は、山田を理想化しすぎており、「山田さんが田山のように振る舞うはずがない」と思い込んでいるからです。

佐々木にとって山田は、疲れ切った仕事帰りに笑顔を向けてくれる清楚な店員です。丁寧な言葉遣いで接客し、客との距離を崩さない。佐々木は、その姿を日常の癒やしとして大切にしています。

一方の田山は、スーパーの裏で煙草を吸い、くだけた口調で佐々木をからかいます。服装や髪型だけでなく、表情、声の調子、姿勢、相手との距離まで山田とは正反対です。

人は顔だけで他人を識別しているわけではありません。出会った場所や役割、話し方を合わせて「この人は誰か」を判断します。レジに立つ山田と、喫煙所で煙草をくわえる田山では、佐々木が受け取る情報がまるで違うのです。

さらに佐々木には、「山田さんが煙草を吸う」「勤務後に派手な格好をする」という発想そのものがありません。二人が似ていると疑う前に、山田さんはそんな人ではないという思い込みが働きます。

第2話では田山が山田と同じ笑顔を見せたため、佐々木も一瞬だけ面影を感じました。それでも、似た笑顔をする人と解釈するところで止まります。同一人物という答えが、佐々木の中にある理想の山田像と矛盾するからです。

顔を覚えられない病気でも、アニメ特有の変装補正でもありません。田山の演じ分けと、佐々木の強烈な先入観が組み合わさった結果です。

もちろん、鈍いのは間違いない(笑)。ただし、この鈍さがあるからこそ、田山は「理想の店員・山田」では見せられない不機嫌さや弱さを、佐々木の前へ置けます。

田山はなぜ山田と同じ笑顔を佐々木に見せたのか

直接の理由は、佐々木へ笑顔の作り方を教えるためです。新卒社員に怖がられたと思い込む佐々木へ、表情を柔らかくする見本を見せました。

ただ、田山がわざわざ顔を近づけ、山田を思わせる笑顔を選んだのは、実用的な指導だけではありません。佐々木がどこまで自分を見ているのか、少し試している部分もあります。

田山は正体を完璧に隠そうとしていません。山田との関係を匂わせ、似た表情を見せ、ときには正体へつながる手掛かりを自分から近づけます。それでも「私が山田」とは言わない。

これは、気づいてほしい気持ちと、まだ自分から明かしたくない気持ちが同居している状態です。正解を教えるのではなく、佐々木自身に見つけてもらいたいのでしょう。

田山にとって山田は、仕事用の笑顔をまとった自分です。佐々木はその山田を慕っていますが、田山としての自分にも優しく接する。だからこそ田山は、「この人はどちらの私を見ているのか」を確かめたくなります。

第2話で正体がバレなかったことに呆れながら、田山は完全には嫌がっていません。佐々木が気づかない間だけ、山田として愛され、田山として距離を縮められるからです。

面倒な三角関係に見えて、登場人物は実質二人。この一人二役による嫉妬と期待が、本作のニマニマするところです。

サブタイトル「スーパーの裏で添えるふたり」の意味とは

「添える」とは、相手の悩みを取り除くことではなく、すでにそこにある気持ちへ言葉や温度を少し足すことです。

前半では、田山が落ち込む佐々木へ言葉を添えます。自分は怖い人間なのではないかと悩む佐々木に、田山は彼の良さを伝え、笑顔という小さな助言を渡しました。

後半では立場が逆転します。仕事のクレームで苛立つ田山へ、佐々木が言葉を添える。田山の怒りを否定せず、無理に機嫌を直させようともせず、ただ隣にいます。

上着を掛ける場面も同じです。田山は眠る佐々木を起こさず、自分の上着をそっと添えました。佐々木の身体へ残る田山の上着と、その袖を握る指先が、口にできない好意を代わりに伝えています。

二人はまだ、互いの人生を背負える関係ではありません。会えるのは仕事終わりの喫煙所で、時間も煙草一本分。それでも、疲れた一日の最後へ相手の存在を少し添えられます。

「寄り添う」よりも「添える」という控えめな言葉を選んだのは、この距離感を表すためです。深く踏み込まない。でも、孤独のままにはしない。その加減が大人なんですよ。

佐々木は山田と田山が同一人物だとは見抜けません。それでも田山が苛立っていることや、いつもと少し違うことには気づく。正体を当てる鋭さはないけれど、相手の心を置き去りにしない優しさは持っています。

顔は近いのに真実は遠い。それでも心の距離は、煙草を一本吸うたびに縮まっている。田山が握った上着の袖に、第2話の感情は全部詰まっていました。

【公式サイト・引用・参照】

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』2話は、佐々木の鈍感さと優しさが最高でしたね!

にゃん子
にゃん子

山田と田山が同一人物だと気づかないなんて、アホにゃ!
でも上着の袖を握る場面は尊すぎるにゃ!

佐々木はいつ正体に気づくのか、ぜひSNSでシェアして皆さんの意見も投稿してください!

アニメ愛好家ユウ

アニメオタク歴25年、アニメ研究歴20年(メディア学専攻)のアニメ研究ライター。
アニメ年間150本以上を視聴し、イベントやコミュニティでも発信。
日本のアニメ・マンガ・ゲームを世界遺産級カルチャーへ。
そんな想いで『アニメのミカタ』を運営中。

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